3匹のワンコを飼い始めた。


共にたくさん旅をしようと思っていたが、そのうちの1匹が乗り物に弱く、ものの10分ほどであげてしまう。

なので2年以上ほとんどどこにも出かけずにワンコ達と家で過ごしていた。

しかしそんな彼も成犬となり車酔いしなくなってきた。

再び、旅に出ることにした。

今度は旅犬と共に。

2010年10月5日火曜日

しまなみ海道ツーリング①

今年したかった旅のひとつに寝台特急の旅がある。寝台特急は幼少の頃の家族旅行で乗ったきりである。

で、寝台特急サンライズ瀬戸にて岡山まで行き在来線で尾道まで行き、そこからしまなみ海道を走って、松山道後温泉まで行く計画を立てた。

10月1日 しまなみ海道 1日目

仕事を終え急いで帰宅し、あらかじめパッキングしておいた自転車を車で吉祥寺駅の大型コインロッカーに預けに行き、すぐさま自宅に戻りシャワーを浴びて8時頃、家を出た。

東京駅には、出発の1時間くらい前に着き、サンライズ瀬戸がホームに入場するところを動画で撮ってみた。





今回は個室シングルにしてみた。小奇麗で、こじんまりとした個室である。とりあえず荷物を置くとこんな感じである。



荷物をつめて横になっても、こんな感じで快適である。


サンライズ瀬戸は予定とおり定刻22:00に東京駅を出発した。

逗子くらいまでは結構外を見ていたけど、飽きてきたので売店で買った村上春樹の「海辺のカフカ」をビールなどを飲みながら読んでいると、いつのまに爆睡してた。


10月2日 しまなみ海道 2日目

5時半にセットしておいたアラームで目を覚まし、シャッターを開けると朝焼けの中をサンライズは走っていた。


着替えたり、洗面をしたり出発の準備をしているうちに岡山に着いた。


すぐさま新幹線に乗り換えて福山へ向かい、福山で山陽本線に乗り換え尾道に向かった。山陽本線、結構ローカルな感じに驚いた。


尾道について、旅の準備をする前にホットコーヒーが飲みたかったので、駅前のミスドで朝食にした。
これから始まる旅に少し緊張していたのか、コーヒーを口にすると妙にホッとした気分になった。

するといきなりピーター・フランプトンのShow me the wayが流れ出した。
おお!と聴き入ってしまった。
BGMに地方ローカルのFM放送を流していたようで、これが70年代のロック特集だった。次にカンサスのDust in the windが流れて、とどめにジミヘンのリトル・ウィングがかかった。

これで番組は終わってしまったが、お陰でテンションは最高潮にあがった。

店を出てBD-1を組み立て、装備を装着していよいよスタートである。


大きな地図で見る

尾道をスタートし伯方島の民宿が今日のゴールである。

尾 道

尾道といえば大林宣彦監督である。映画「転校生」など大林作品の舞台として有名である。
尾道駅をスタートして、まずは千光寺方面に行ってみた。



が、この千光寺方面に行ってみるという曖昧さがいけなかった。

こんな感じの魅力的な路地に入ってみると



道は階段になったりして、その階段を上りさらに、こんな路地に入ったりしているうちに、すっかり道に迷った。



結局フル装備のBD-1を担いで、かなりな階段を上ったり降りたりする羽目になった。さんざん迷った挙句、持光寺というお寺の境内に出た。



すでに汗ダク。尾道は自転車向きでない。全然走ってないのに結構足に来てしまった。気を取り直して映画「転校生」で主人公一夫と一美が入れ替わってしまう、御袖天満宮の石段に行ってみた。

が、見上げただけで登る気にならなくて退散。まぁ、尾道は自転車でないほうがいい。


さて、いよいよ「しまなみ海道」を走ることにする。

最初の向島へは自転車は、渡船で渡るしかない。尾道には、いくつかの渡船があり、今回は尾道渡船にした。



向かいの対岸が向島で写真の右に写っている船が渡船である。ものの4、5分で対岸に渡れ料金は110円だった。

向 島

向島の渡船場から見た尾道の街並みである。あの小高い丘の中に細い路地と階段が入り組んでいる。


渡船場から真直ぐ南に2、3キロ走ると海に出た。折り重なるよう見える島々。おお!これぞ瀬戸内海。


そして水がきれい。水の色、空の色、砂の色、とても色彩豊かである。なんだかリラックスする。



こんな気持ちのいいビーチ沿いの道を走っていくと、因島にわたる橋、因島大橋が見えてきた。


しばらく行くと原付・自転車・歩行者用の入口があらわれた。


橋に上がる道は結構な上りである。途中でみた因島大橋。


因島大橋は橋の下のゲージの中を走ることになる。


因 島

因島に渡り、海から離れて山の中の因島水軍城へ行ってみた。


たかだか標高100m位だけど、BD-1にはきつかった。門から先は階段になっていて、それを上っていった。


上がってみると、さして見るべきものは何もなかった。


因島水軍城を後にする。この辺はいくつかの丘を越えて走ることになった。坂を上りながら花を見つけると写真を撮るのを口実に休むのである。別に独りだから休むのに口実はいらないのだけど…。

東京周辺は向日葵は完全に終わってしまったと思っていたけど、瀬戸内ではまだまだ咲いていた。結構風が吹いてて、チャンと撮るのに苦労した。ゼンゼンボケてないし。


丘を越えて海沿いに出ると生口島にわたる生口橋が見えてきた。だんだん雲行きが怪しくなってきた。


生口橋にあがる入口の前で、上りの前に休憩。
橋脚とか建造物の周りの水質は落ちるのだけど、落ちても透明度は充分ある。


生口橋にあがる原付・自転車・歩行者専用道を上っていくと生口橋の全容が見えた。この橋も美しい橋である。


生口橋は橋の上に歩道があって、そこを走る。


生口島

橋を渡り専用道を今度は下ることになるが、そこから見る橋と因島は美しかった。


生口島の北側の海沿いを走る。のどかな陽気の中、透明度の高い海を台船が移動していく。東京湾で見慣れてる台船の絵柄とまったく違う。



海沿いを離れ山側の道に入ると、いたるところミカン畑である。深緑のミカンがたわわに生っている。


平山郁夫画伯は生口島の出身だそーで、平山郁夫美術館がある。だいぶ以前に上野の森美術館で平山郁夫展が開催されてたことがあり、当時見に行った。シルクロードの敦煌などは、画伯の影響で知った位である。

瀬戸内の色彩豊かな自然の美しさが画伯のルーツなのだ、などとシロウトながら納得してしまった。さんざんそんな色彩の中を自転車でウロウロしてきた目で再度、平山郁夫画伯の作品を拝見したいと思い寄ってみることにした。


平山郁夫画伯の作品はどれも素晴らしかったが、特に「絲綢之路 パミール高原を行く」を時間を忘れて見入ってしまった。


再び次の多々羅大橋を目指し海沿いを走っていると、とうとうポツポツと降り始めた。それほど酷い降りでないので、そのまま走り続けた。



大三島

多々羅大橋を渡り、大三島に入った。とりあえず雨も降っているので、多々羅大橋を渡るとすぐにある、道の駅「多々羅しまなみ公園」でお昼にした。海鮮丼を頼んでみると、安くて美味しかった。鯛やハマチなどの刺身がふんだんにのっていた。魚の身の締まり方がハンパなかった。

天気は降ったり止んだりといった感じである。色彩豊かな瀬戸内が…。




道の駅を後にして海沿いを走る。相変わらず雨は降ったり止んだりを繰り返してる。が、レインウエアを着るほどでもないし、微妙に暑いので、余計にレインウエアを着る気がしない。

大三島にはサイクリング・ロードがあって、その案内に従って走っていくと道は海から離れて山に入っていた。この道は自転車・歩行者専用道なので車は入ってこないが、元はどんな用途だったのだろうか。中央にある段は中央分離帯なのだろうか。何となく不思議な感じのサイクリング・ロードである。



再び海沿いの道に出ると砂利採石場が近いのか10tダンプカーが狭い舗道の無い道をガンガン往来する走りづらい道になった。さらに雨が本降りになった。かなり酷い降りになってきたので、漁師小屋のような建物の軒下でしばし雨宿りをすることにした。さすがに10月なので蚊がいないのが救いである。

30分近くそこで雨宿りしてると小降りになってきた。レインウエアを着込みフロントバッグにカバーし折りたたみリア・マッドガードを装着して再び走りはじめることにした。



いざ装備をチャンとして雨の中を走り出すと、雨の瀬戸内も情緒があっていい。




小一時間ほど走ると再び雨があがった。薄い雲に覆われた沈みゆく太陽がなんともいえないコントラストを描き出した。


結構なアップダウンを繰り返しながら時折はるか彼方に大きな美しい橋が見える。地図で確認してみると明日渡る予定の最後の橋、来島海峡大橋だった。ということは、霧に煙るかすかな大地は四国本土である。


望遠でよって見ると、


さて、ここからは日没前に宿に入りたいのでガンガン走る。が、道も容赦ないアップダウン。だんだんこれ位の時間になってくるとBD-1の20インチの走りの疲れが相当色濃くなる。結構脚にきてる。

やっと伯方島に渡る大三島橋が見えてきた。


今まで渡ってきた橋と比べると地味。普通の橋といった感じ。


大三島橋を渡ると日が暮れた。そこから30分ほどナイトラン。しょぼいライトなので結構神経を使う。しかも、街灯とかほとんど無いので日没と同時に真っ暗。30分がとても長く感じられた。まっ、しょぼいライトを使ってる自分が悪いのだけど。

何とか今日の宿、民宿「うずしお」にたどり着いた。部屋に入るとホッとした。


移動時間  7時間16分
停止時間  2時間18分
走行距離   98.1㎞
平均速度   13.5㎞/h
最高速度   59.4㎞

しまなみ海道ツーリング②

10月3日 しまなみ海道 3日目

今日は、伯方島から大島に渡り四国に上陸して今治を目指し、今治から松山道後温泉へと走る予定である。


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伯方島
民宿「うずしお」を8時半頃スタートした。

天気は微妙である。しかし時折雲の切れ間から太陽がのぞく。

昨日はナイトランで、まったくあたりが見なかったけど、このへんも島が相当入り組んでいるようで、海面から潮流の速さと複雑さがうかがい知れる。



昨夜はまったく見えなかった大島大橋が見えた。



橋の上はこんな感じだった。



大 島
しまなみ海道最後の島、大島に上陸した。大島から見た大島大橋。下の堰堤で釣り師がエギングでロッドをしゃくっていた。



しばし海沿いの道を走るが、ここら辺は真新しいイカの墨跡だらけである。そーとうアオリイカ出るのであろう。しかし、それにしても水が綺麗である。



海沿いの道を離れて島の中心部へと向かう。趣のある民家が立ち並ぶ。



しまなみ海道でもっとも標高の高い亀老山公園に向かう。天気がいいと360度の大パノラマですぐ手前に四国を見ながら本州も見えるらしい。とりあえず何とか晴れたり曇ったりなので亀老山公園をめざす。



が、標高は300mほどであるが、20インチのタイヤではメチャメチャきつかった。
道端にいろいろな花が咲いているので、撮影しながら休み休み上った。



もーチョッと走るとすぐ休憩。



ドングリを見つけても、すぐ休憩。



だんだん靄が出てきて、時折見せてた晴間が無くなってしまった。ああ、360度大パノラマが…。

とりあえず途中で見えた、しまなみ海道最後の橋、来島海峡大橋。



1時間近くかかって、なんとか亀老山公園にたどり着いた。すっかり霧に包まれてしまった。糖分補給のため売店にソフトを買いに行くと、売店のおじさんに「玉藻塩アイスがイチオシ」と勧められた。食べてみると本当に美味しかった。

玉藻塩アイスに感動していると、さらに霧がひどくなったと思ったら、いきなり大粒の雨がガンガン降ってきた。数組いた観光客は皆車でおりてしまった。誰もいなくなったのをいい事に、公園の比較的大きなトイレにBD-1を雨宿りのため入れて、自分はトイレ上に設置されている屋根のある展望台で雨宿りした。
乳白色の霧に包まれているので、することも無いので「海辺のカフカ」を読んだ。

30分位すると霧がはれて雨も止んだので再びスタートする事にした。

一気に下って海沿いの道に出ると、かなり高い位置に来島海峡大橋が見える。



橋に上がる自転車・歩行者専用道はループしながら登っていく。途中で見た来島海峡大橋の橋脚周りの潮の流れが凄かった。



橋の上はこんな感じで左側の歩道を走っていく。来島海峡第一大橋、第二、第三とあり、総延長4㎞のとても美しい橋である。



東京のレインボーブリッジや横浜のベイブリッジと同じ形で、レインボーブリッジやベイブリッジでは止まるわけにはいかないので、こんな写真は撮れないが、ここではそれが許されるので、柱を見上げるアングルで写真を撮ってみた。(イマイチな写真だけど…。)



来島海峡第三大橋を渡りいよいよ四国上陸という時に、デジカメの電池がきれた。

ああ~、来島海峡大橋から見た四国の地の写真が撮れなかった。ガッカリ。

さらにそこで充電器を持って来てないことに気づいた。

今回の旅のもーひとつの目的が、予讃線の下灘駅の写真と予讃線の動画を撮りたいのである。ここで電池切れはありえないのである。

今治にある電気屋の大型量販店を携帯で調べるとヤマダ電機があった。駅から4km程あるが行ってみることにした。

店で祈るよーな気持ちで在庫を聞くと「お取り寄せになります」とのことだった。

そーとうガッカリしながら今治駅に戻るため走っていると、なんと雨がかなり降ってきた。ガッカリ感倍増…。

とりあえず雨は上がりそーにないので、BDー1を畳んで電車で松山へ行くことにした。松山で充電器を探してみることにした。

雨はあがっていたけど、松山駅前は、かなり寂れていた。これじゃあ充電器は期待できないと思った。

とりあえず携帯で松山のカメラ店を調べて、片っ端から電話してみたが、どこも在庫は無かった。

奇跡でも起きない限り、もー今回の旅の写真は撮れない。ガックシ。

完全にあきらめて道後温泉に向かうことにした。城山公園の大広場でお祭りをやっていた。神輿と神輿がぶつかり合う壮大な祭りだった。城山公園から見る松山城は美しかった。カメラが使えないことに気分が落ち込んできた。

城山公園を抜けると、とても美しい建物の愛媛県庁があった。この辺に来ると駅前とは打って変わって、とても近代的な大都会の様相を呈してくる。しかもその中を路面電車が走り抜けていく。その感じがとてもいい感じである。とても風情のある街並みである。とても素敵な松山。すっかり気に入ってしまった。が、カメラが使えない。(泣

とりあえず今日の宿、道後温泉の「さち家」にチェックインする事にした。

BD-1で移動は、

移動時間  4時間12分
停止時間  1時間40分
走行距離   50.3㎞
平均速度   11.9㎞/h
最高速度   35.6㎞

だった。


さち家さんの番頭さんは、まだ20代といったお若い感じで、とても親切な方だった。御自身も自転車に乗られるということで、BDー1を屋根のあるご自分の自転車の横に置きに行ってくれた。

チェックインの手続きをしながら、自転車談義で盛り上がってしまった。

すっかり話が合って、いろいろな雑談をしてしまった。カメラが好きで、宿のカウンターから自身のカメラを出して見せてくれた。

そこで奇跡が起った。

なんと彼のカメラが同じ機種だった。おおおっ!

事情を話すと快く充電器を貸してくれた。これは奇跡としか思えない。

早速充電をはじめ、汗だらけの体を流すのにお風呂をいただく事にした。体を洗い湯船につかると道後の湯は、柔らかい感じがした。疲れた全身がゆるりと伸びていく感じ。深く息を吐きながら、全身を伸ばして素直に出てきた言葉が、

「VIVA、道後!」

だった。(綾瀬はるかのホタルノヒカリを毎週見ていた影響もある。)

夕飯は、贅沢にも部屋にお運びしてくれた。

こんな献立で


一品一品手が込んでいて美味しかった。

全品写真は撮れなかったけど、



食事しながら飲んだハーフ&ハーフの地ビール。全然料理の邪魔にならない。









締めは鯛めしである。



あまりにお腹が空いていたので、写真を撮る前に手をつけてしまった料理が結構あった。さすがに私の食べかけの写真を撮る気も起きなかった。全品撮影できなかったのがかえすがえすも残念である。

大満足の夕飯を終え、もう一風呂浴びに道後温泉本館に行ってみることにした。

さち家さんは、温泉街のアーケードの丁度中央くらいの路地をチョッと入ったところにあり、このアーケードの先のローソンを右に行くと道後温泉本館があり、後ろに向かうと道後温泉駅がある。



かつて夏目漱石も愛してやまなかっという、道後温泉本館にいってみた。昔の銭湯といった感じであるが、とても風情があってよかった。





部屋にもどり、「海辺のカフカ」を読んで寝た。